機械制御から電子制御へ

近年、船舶用エンジンを取り巻く環境は大きく変化しました。その大きな要因が2000年から始まったNOx(窒素酸化物)の国際的な排出量の統一規制。以降、一次・二次とハードルを上げ、2016年からは三次規制がスタートしました。その対応を図る中で、従来の船舶用エンジンの構造や考え方そのものが見直しを迫られていったのです。

これまで船舶用エンジンは、洋上での万一のトラブルにも一般乗組員が修理対応できるように“単純な構造”で造られてきました。排ガスコントロールにも大きく影響する燃料噴射の量やタイミングをカム軸によって“機械的”に制御するという構造が長年変わらなかったのもそのためでした。しかし三次規制で求められるNOxの80%削減という条件をクリアするにはもはや“機械制御”では対応できません。そのため安全・経済性を担保しながら“電子制御”が導入されたのです。

マキタでは2013年から、電子制御による新型エンジン「MEシリーズ」の製造を開始。初年度に「S46ME-B」と「S35ME-B」という2種の国内初となる新型エンジンを完成させました。そして翌2014年には世界初号機となる「S30ME-B」の製造に成功。2015年、2016年も初号機ラッシュは続き、数年後にはほぼすべての新造エンジンが電子制御エンジンになるとも言われています。まさに船舶用エンジンにとっての新時代が幕を開けたのです。

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時代の転換点に立つ

マキタが世界トップシェアの船舶用エンジンメーカーとなった契機は、1982年に「槙田-三井-B&W 6L35MC 4080馬力」の“世界初号機”を完成させたことでした。図面をカタチにする上でのさまざまな工夫やリリース後のトラブルシュート・・・それらはすべてマキタ独自のノウハウとなりました。そして数々の問題を乗り越えたメンバーが技術者として大きく成長を遂げました。それがマキタのメーカーとしての力となり、他社にすぐにマネのできない競合優位性を築いたのです。

かつて体験した“4サイクル”から“2サイクル”への転換。それと同様に今“機械制御”から“電子制御”への転換が進行しています。それは船舶用エンジンにとってパラダイムシフトとも言える大きな変化です。ここからまた新たな世界標準が生まれる。モノづくりを極めたい技術者にとっては数十年に一度のチャンスです。

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